ちなみに広場について書いてます。

広場について綴るブログです。

資本主義が終わる時代に現れる生き方とそれに必要な場所3

分かった、分かった、お前が広場が良いっていうのは分かった。

お店が集ってた方が確かに気分が盛り上がるもんね。

 

でもじゃああなんで、そういった商業の集積の場であった

商店街はだいぶ寂れちゃったのよ?

商業が集積されれば別に商店街でもいいんじゃないの?

もし商店街が上手く行ってないんなら、広場だって上手く行かないんじゃないの?

というご質問があるとして。

 

うーん、商店街の話はたくさん議論されてて、

寂れた原因もかなりはっきり分かってそうですが、 

(便利なスーパーマーケットが出てきちゃったとか、

そのうちショッピングモールができてさらにそっちに流れちゃったとか。)

 私がひとつ切実に思うのは、

やっぱり車の登場が大きかった気がするんです。

買い物をする時に大事な高揚感や、わくわく感を

車が商店街のど真ん中を走ることで断ち切っちゃった。

だから商店街は寂れてしまった。

 

先日ね、房総のむらってところに行ってきたんです。

房総のむら、っていうだけあって、千葉県の房総半島にあるんですけども、

房総の古代から近代現代までの里山の様子や、農家を展示していて

同時に、近代の商家の街並なんかを展示している場所なんですね。

博物館ではあるんだけど、実際の街並を展示しているので、

ドラマのロケなんかにもしょっちゅう使われている場所です。

 

で、その商家=お店屋さんの通りはだいたい200mくらいで

その両脇にトータル20軒弱お店が軒を連ねている訳ですが、

まあ当然江戸時代くらいをイメージしているので、

車道、歩道って言う区別は無くて、

幅が7mくらいの道路の両脇に直接お店屋さんがひっついているわけです。

で、そういう状態のお店が20軒ほど連なっている。

 

その真ん中を歩くとね、あ、これは広場の感覚に近いね…。となったんです。

細長い広場って感じ。

たまたま私が行ったのは、平日だったのでがらんがらんでしたけど、

ここはお正月なんかは割と混み合いそうなので、

きっとわいわいした感じがあるでしょう。かなり賑やかな感じです。

それが日本の商店街のそもそもの形だった。 

 

それを想像していて私は、

あぁ、この道のど真ん中を車が通るようになっちゃったのか…と

愕然とした気持ちになりました。

 

昭和になって、高度成長期に車は普及し始めました。

その時に、(当然と言えば当然ですが)車は道を走る訳です。

つまりそのときの道は、房総のむらに見られた、歩道も何も無い道は、

車が2台行き交ったらいっぱいになってしまう狭さです。

 

今でも、昔からある町の中心市街地に行くと、

歩道も何も無くて、やったら狭い道があったりしますけど、

(例えばドラえもんで出て来る町には歩道がないですよね。)

そこは江戸より昔の道路をそのまま車が通る道として使っているってことです。

 

車が通るということは、歩く人にとっては快適な環境じゃないのは明らかです。

常に前から後ろから来る車に気を使っていないとならない。

子供がいるならずうっと子供の動向に気を使って歩かないと行けない。

大人だって、何となく端っこを歩かないと落ち着いて歩けない。

当然みんなここを歩く時は、緊張感をもって歩くでしょう。

 それは必然的に、買い物の時に必要なふわふわお店を見廻るモードを断ち切ります。

(だいたい買い物する時って、後ろも前もあまり見ずに、あ、あっちにいい店があるよ!

こっちにも気になるものがあるよ!ってなりますよね。)

 

まあそれは、車が出てきてしまったからある程度は仕方がないとも言えるけれど、

それを商店街のど真ん中に通すことを許したのは、

とてもまずいことだったんじゃなかろうか…。と思いました。

そういったふわふわお店を見廻るモードを提供できなくなった商店街は、

(車の心配のない)スーパーマーケットに負け、

そしてさらに人工的に町をつくり出しているショッピングモールに負けた。

 

そしてそれは未だに解決されていない問題で、

日本の多くの商店街はそこから抜け出せていないのです。

それが日本の商店街が寂れた大きな原因じゃないのかな、と思い至りました。

 

例えば、前回も出したショッピングの町としてちゃんと今も栄えている、

代官山、自由が丘、吉祥寺、下北沢。

ああいう街は、車で街中に入っていくのがためらわれます。

車よりも当然人が優先されている感じ。

車でその道を走っていくと歩いている人に舌打ちされそうな感じ。

でもそれが買い物する場所として栄える為には、とても大事な条件なのでした。

 

話がちょっとずれるので、この話に関してはこれくらいにしますけど、

やっぱり車道は商業のど真ん中を通しちゃダメだったんですね。

動線全然なってない、って感じです。

 

そんな訳でまた続く。