ちなみに広場について書いてます。

広場について綴るブログです。

町らしいとはアントレプレナーシップを発揮できる場所があること。

昨日からの続き。

 

藻谷浩介対話集 しなやかな日本列島のつくりかた

藻谷浩介対話集 しなやかな日本列島のつくりかた

 

 今日はどちらかというと広場とかまちづくりについての記述。

いくつか気になる台詞を。

 

ショッピングセンターぐらいでしか働く場所が無い

 藻谷さんの世代は、おそらく商店街とその地域性が結構リンクして

 

いると思うんですけど、僕より下の、20代以下の郊外に住む若い人たち

 

とっては、ショッピングモールこそが地元だという

 

意識になっていることです。

 

藻:なるほど、そうですよね。

 

新:実は、その人たちが地域にこもってしまっているという問題も

 

あるんです。というのも、地域愛のある人ほど、非正規雇用で働いている。

 

友人の社会学者である阿部真大君によると、今地域にこもっている

 

若者たちが目指す職業は、綺麗に二分されているそうです。

 

ひとつは、数はかなり少ないんですが、警察官や消防官。特に都市規模が

 

小さくなればなるほど、警察・消防しか働き口が無くなります。(中略)

 

 もうひとつ、警察・消防ではないところで地元に残るといったら、

 

ショッピングモールとなりがちです。

 

不安定な立場で賃金も安いけれど、多くの職を提供しているのは事実です。

 

(中略)

 

藻:(中略)昔であったある店主が言っていたのです。「商店街ってのは、

 

弱小な一個人が事業者として、大組織や大手資本に対抗しながら、

 

なんとかやっていける地域でただひとつの空間なんだ」と。

 

町を失くした地域の人は、ショッピングモールで単なる消費者になるか、

 

使用人になる以外に道がないんですよね。

 

つまり、ショッピングモールは消費する場としては愛すべき空間であっても

 

そこに使用人以上の者として関わり、自分が生きた証しとして後世に

 

残して行く場には、残念ながらなり得ないでしょう。

 

 

うん、ここにも納得。地域にこもっている、という書き方に東京上位な目線を

感じたりもしますけど、(東京にでるのが絶対なのかよ!みたいな)

まあそれはおいておいて、確かに地方じゃ勤め先の上位に

上がってくるショッピングセンター。

先日こんなエントリを書きましたけど、

モールについて語ってみる - ちなみに広場について書いてます。

 

 

つまり、あの時は、消費する側として、

「緩やかに自分のポジションを低下させる」的な位置づけで

ショッピングセンターを捉えた訳ですが、

雇用される側に立ってみると、もうどうやったって、

あのショッピングセンターの資本には敵いそうにないわけです。

ショッピングセンターの資本を持つ人にはそうそうなれないでしょうし。

 

でも、商店街がある町だったら、事業者としてちゃんと生活の

基盤を作れるチャンスがある訳です。

 

アントレプレナーシップを発揮できる場所

新:「町、あるいは都市とはなにか。」その定義は数多くありますが、

 

僕が最近読んで「なるほど」と思ったのは、

 

アントレプレナーシップが発揮できる空間である」という定義です。

 

アントレプレナーシップは「冒険心」とか「起業家精神」と訳されますが、

 

要するに自分で事業を興す精神性みたいなものですね。

 

私たちはなぜ、商店街に感じる「町らしさ」を、ショッピングモールには

 

感じないのか。たくさんのテナントが入るショッピングモールだって、

 

生鮮三品の専門店を並べて商店街らしくすることはできるでしょうか、

 

私たちはそれを「町らしい」とは思わないはずです。

 

それはなぜか。おそらくそこにかけているのが、

 

アントレプレナーシップなのではないかと思います。

 

つまり、自分で事業を起こしたいという人がいて、その思いを活かすことが

 

出来る空間がある。こうした空間や舞台を、

 

私たちは無意識に町や都市といっているんじゃないか。

 

はい、聞きました?いますごい良いことおっしゃってましたよ。聞きました?

アントレプレナーシップを発揮できる場所を持っている場所を町や都市と言っている。

ではここで以前書いたエントリを見てみましょう。

お、結構良いこと言ってるじゃない。(自画自賛

一個人が手出しを出来る空間があることが重要な訳ですね。

 

藻:起業家精神を持つ若者は今もいます。ですが、それが商売で花開くには

 

根・葉・茎が揃う場が必要なのです。

 

根は住居、葉は職場です。居住者しかいないのが団地、職場しかないのが、

 

工業団地やオフィスビル街ですが、これらは、町ではない。

 

なぜなら、前者は住む人しか、後者は来る人しかいないからです。

 

住居と職場が混在してこそ町と呼べる。

 

加えて茎=公共的な施設も必要です。中でも一番人を集めるのは

 

病院や学校ですね。

 

はいはいはいはいはいはいはい!!!!!!!

 

ーはい、どうぞ。

 

茎に広場も入れてください!!!!

 

 

…。さ、次いきましょ。

 

根・葉・茎が揃って初めて、住む人と来る人が一緒に歩く場となり、

 

零細店にも売り上げという栄養が行き届く。

 

理屈ではないんですが、これがこれまであらゆる町を観察して得た

 

結論です。

 

藻:この反対をやっている地域、つまり、郊外農地を開発し、

 

住居と職場と公共施設と大型店をそれぞれ無料駐車場付きで分離させ、

 

移動は全部車で、としてしまった地域からは、起業家が生息できる空間が

 

存在しなくなってしまった。

 

面白いことにそうした土地からは、文化的なものが泣く案って行くんです。

 

モールに並んだ物資を消費して満足している人だけになった地域からは、

 

ユニークな雑貨屋とか、こじゃれたカフェ、尖ったイベントも消えて行く。

 

残念です。

 

 っふぁー。そうなんですよね、そうなんですよね、

40年前に計画されたニュータウンなんかは、団地の真ん中に

いくつかのお店が計画されていたりしますが、

ここ20年くらいで計画されたニュータウンには、

そもそも商店街的なものは作られず、ダイエーや、イオンといった

大型店舗で買い物が済むような商業施設だけが計画されています。

サラリーマンとして都内に勤務して、自宅には寝て帰る、

というライフスタイルの為にはぴったりですが、

辞表を会社に叩き付けて自分でなにか始めたい、と思った時に、

そういった町にはとっかかりがありません。

 

そして最後に、

 

新:そうですね、あまり理屈っぽくいうより、実例を見せていくことが、

 

これからすごく必要なことだろうと思います。それが先ほどの、

 

ショッピングモールの非正規雇用という問題に対して

 

唯一対抗できるものになるかも知れない。 

 

うん、このエントリで書いたのは第一章だけだったんですけど、

この本も示唆に富みすぎてて、

ちょっとライトレールについても考えを改めました。 

 

 

ちなみに新さんのインタビューで、

これまた素晴らしいことおっしゃってたので、リンク!