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純日本育ちの少年少女名作文学好きが日本近代文学に惹かれない理由

お久しぶりです。GWも終わりましたね。どちらか行かれましたか?
我が家もこのGW中に無事お引っ越しを済ませました。
いやー、いいですよ。新しいうちは。木の香が香る。
新しいうちに引っ越したせいか、興味が街並みよりも
インテリアに内向いてるのもご愛敬。



だけど街並み。今日も本より抜粋。
なんだかだんだん、本の中に街並みに対する記述を見つける人へと
変化している気がするけれども、でもまあそれもご愛敬。
今回は「日本語が亡びるとき」。ホットな本ですね。
日付は書き留めておいた時間です。なぜか早起き。



09/4/28 5時51分10秒火曜
日本語が亡びるとき
p310
日本人がみな安吾のように、いくら文化財など壊しても「
我々は…日本をみうしなうはずはない。」と思っているうちに、
日本の都市の風景はどうなっていったか。
建築に関しての法律といえば安全基準以外にないまま、
建坪率と容積率の最大化を求める市場の力の前に、
古い建物はことごとく壊され、その代わりに、てんでバラバラな高さと色と形をしたビルディングと、
安普請のワンルーム・マンションと、不揃いのミニ開発の建て売り住宅と、
曲がりくねったコンクリートの道と、理不尽に交差する高架線と、人が通らないわびしい歩道橋と、
蜘蛛の巣のように空を覆う電線だらけの、何とも申し上げようのない醜い空間になってしまった。
散歩する旅の怒りと悲しみと不快。


法隆寺が残っているのは喜ぶべき事だが、
私たち普通の日本人の生活に関係あるのは、普通の街並みである。
安吾が「法隆寺を取り壊して停車場を作るが良い」といったとき、
彼は鉄道の駅のような物を指していったのだろう。
だが、安吾が偶然使った「停車場」という言葉は、
あたかも半世紀後の日本の街並みを暗示しているように聞こえる。

それは車社会となり、家が壊され空き地ができるたびに、
その空き地という空き地がコイン式の有料駐車場へと変わっていっている
今日の日本の街並みに他ならない。戦火を免れた京都も、日本人は自ら壊し続け、
西洋人が腰を上げて保存せねばならない恥ずかしい都となってしまった。
「日本語と日本文化は絶対、大丈夫」と河合駿夫が保証しても、
都市の風景も文化の一部である。日本文化は「絶対、大丈夫」では無かったのである。
日本人は信じないだろうが、日本語も同様である。
日本語も「絶対、大丈夫」ではない。



そうなんですって!日本語も、亡びかねない(というよりも亡びつつある?)
んですって!ショックだわ〜。
私自身は、自分の本を読む時間にこの数年当ててきたわけですが、
この本の影響と、だれかから最近「ちゃんと読み聞かせしてる?」
と聞かれたせいで、今日急遽思い立って図書館にいって
「我が輩は猫である」借りてきてしまいました。
そもそも西洋にあこがれを抱く少女だったせいか、
布団の黴臭さが漂ってるような(気がした)近代日本文学って憧れられなくて、
だから読んだこと無かったんだろうな。日本の明治時代くらいの小説。
小公女だとか、秘密の花園だとか、ナルニアだとか、ロシアのバレエ少女の話だとか
そういう本にしか惹かれなかった。なんど「果樹園のセレナーデ」を読んだことか。
この著書が近代文学を読みあさってたのは反対に日本に強烈に憧れてたからだろうな。
アメリカ在住だったことが大きくて。
反対に平安時代に憧れてた時は、「とりかへばや物語」とか
紀貫之とか多少、読んでましたよ。漫画の影響ですが。


けどうっちーが「日本辺境論」で、日本人は常に海外を「よきもの」と捉えて
けして自分を基準にできない民族だって喝破してたけど、
この私の、西洋に憧れるせいで、西洋少年少女名作文学は読むけど、
日本近代文学を読まないところを見ても、日本辺境論の正しさが実証されますな。


日本語を亡びさせないために必要なことは、水村さんのおっしゃるように
学校教育でもっと読ませるってのも重要だけど、
(discover japanって雑誌がやってるように)
日本の文学って素晴らしいわ!って西洋人に評価してもらい、賞賛してもらい、
その評価を逆輸入することで、日本の人に「お、なに?今もしかして日本近代文学ってトレンディ?」
って思わせることよね。BRUTUSあたりがそういう特集すればいいのに。



ってなことを考えながら、読み聞かせするcheelee。
なんだ結構漱石って読みやすい。
皆さんも近代文学って取っつきづらいって思ったら、子供用の本借りると良いですよ。
ルビは振ってあるし分かりにくい言葉の意味はカッコ書きで注があるし。
一樹の陰(いちじゅのかげ=たまたま、同じ木の陰に宿るのも、前世からの因縁によるものとの意味)
ってな具合に。一樹の陰なんて読めないよ〜。
この調子で近代文学全部制覇しよう。ビバ、寝かしつけ。ビバ、読み聞かせ。