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誰が世界を変えるのか ソーシャルイノベーションはここから始まる

「誰が世界を変えるのか ソーシャルイノベーションはここから始まる」

p170
過去40年間、ジェーン・ジェイコブズは、健全な都市という物は変形菌と
同じ特徴を持っていると論証してきた。
都市を存続し、繁栄させたいなら「ペースメーカー」
にはご退場願った方がいい!と彼は言っている。
(注→ここでのペースメーカーとは都市デザイナーのような
マスタープランを練る人、先導する人のこと)



矛盾するようだが、ジェイコブズは都市計画の優れた提言者であり、
政治家や官僚に積極的にはたらきかけた人物だった。
介入はつねに不適当だと主張したわけではない。
むしろ、都市計画の立案者に対して、地域を活性化し、
自己刷新(セルフリニューイング)させている
既存の相互作用のパターンにもっと注目すべきだと主張したのだ。



健全な都市には相互作用がある。そのわずかな基本ルールから
地域が自己組織化するというジェイコブズの鋭い観察は、
世界中の研究に生かされてきた。
計画的なコミュニティの失敗例は数え切れないほどある。
そのほとんどは、もっと有機的に作られた存在であれば
本来持っているはずの、刷新や再生の能力を欠いている。
見逃されているのは自然に創発する地域社会に備わっている相互作用のルールなのだ。



ジェイコブズは、良い地域や都市とは、何かを深く考えたが、
経済学者のポール・クルーグマンは、商工業の自然な構成について研究した。
彼は、企業というものは総合的な設計者の手が入らなくても
似たような組織を持つ物同士が自然に集まる傾向が強いと言うことを
論証してきた。


クルーグマンはどの事業も局所的な自己利益によって動かされていると主張する。
同業者はできるだけ近づこうとするか、できるだけ離れようとするか、
どちらかのパターンを繰り返すのだという。


クルーグマンが自分のモデルを初めて世に発表してから何年もあとに、
都市経営シミュレーションゲームの「シムシティ」などのコンピュータゲームが
登場し、彼の考えを裏付けることになった。

まず、プレイヤーは架空の街に好きなように商工業を配置するのだが、
その後、それは自動的に反復され、
最終的にはクルーグマンのモデルにそっくりな街が完成する。


つまり、シリコンバレーや、多くの都市にみられる服飾産業が
集中する地域のように、同業者が密集し、同業者の群落と群落の間には
広い隔たりができる。

地元の食料品店やクリーニング店など、幾つかの例外もあるが、
大抵はクルーグマンのモデルが当てはまるのだ。
この場合の創発のパターンは相互生存(共存)の必要条件を示しているように見える。