ちなみに広場について書いてます。

広場について綴るブログです。

個人的な広場との出会いの話をしよう3

シエナでの衝撃的な一夜が過ぎた次の日、私は余韻に浸っておりました。

 

これまた全然関係ない話ですけど、

自分にとって衝撃的なことがあった時って、

その日一日、下手したら3日間くらい、その出来事を牛の胃袋のように

反芻しちゃって、それだけで時間が1、2時間あっという間に

経っちゃうことってありますよね。

 

恋愛ドラマで、なにか主人公にとって衝撃的なことがあったあとに

苦悩する主人公の姿を見せるカットがあったりしてて、

なんでこんなこのひとの姿ばっかりうつすのかなぁ、さっさと話の次の展開に

いってほしい、とか思ってましたけど、

あれは主人公がその出来事を反芻してる姿だったのね。

自分に置き換えたら衝撃的なことがあったら確かに、こんな風になるわ、

いや、むしろもっと反芻してるわ、って今思いつきました。3日くらい寝込むとか。

 

とはいえつまり今更それに気付いたってことは、そういうカットだけだと

主人公の苦悩は伝わってこなかったってことでもあるのか。

もっと違う演出の仕方で、主人公が本当に煩悶しているんだなぁって

実感させられたら、それは相当秀逸なドラマ。

うん、だいぶ話がずれた。

 

というわけで、シエナでの一夜の余韻に浸る私が

ぼんやりカンポ広場に座っていると、

足早に歩く人たちがなにやらみんな黄色の花を持っていました。

その花はミモザの花で、イタリアでは

3月8日に男性から女性にミモザの花を贈るのが習慣なんだとか。

ということはシエナで広場と衝撃の出会いをしたのは3月7日だったんですね。

うん、それも話がずれた。

 

 

たまたま偶然にも、カーニバルっていうお祭りの日に広場に行ったことは、

ものすごい幸せなことでした。

もし、カンポ広場に行ったのが普通の日の夕方で

彼らに会うことも無く、何となく綺麗な広場を眺めて

何となくコーヒーとパンを片手に広場でお茶するだけだったら、

ここまでの感動を受け取れなかったはず。

もちろん、広場の良さは、毎日一杯のコーヒーを気分よく飲める

っていう日常的幸せに潜んでいるんだけど、

でもこのセレンディピティと言っても良いくらいの出会いが無ければ、

広場にこうも惹き付けられることは無かったはず。

 

知り合うことの無い人たちと、レストランで食事をして、

祭りを楽しんで、ダンスを踊りあかす。

もしあの時あの道に足を踏み入れてなかったら、

もしあの時誘いを断っていたら、

いや、そもそも彼らが誘ってくれていなかったら、

この偶然の奇跡は起こらなかった。

 

それはけして計算されたものではなくて、たまたまのたまたまが

呼び寄せたものなんだけど、だからこそ心が震える具合が大きい。

十数年たった今でも思い出せるくらいのインパクト。

 

そうか、やっぱり人は心が動くのが大事なんだな

そしてそれは人との出会いや偶然のハプニングてでかいんだな、と思ったところで、

山崎亮さんの行った事例が実はつまりこれに近いのかな、と気付いた次第。

 

山崎さんが、某公園設計を行った時に、

公園が実際に使われる為にはどうしたらいいのか、っていう悩みがあったそうです。

そのとき山崎さんは、ディズニーランドに行って

キャストの重要さに気付いたってありました。キャストがいることで、

ディズニーランドが生き生きした場所になっている。

 

山崎さんは、そこで公園におけるキャスト的な役割として、

サークルとか、NPOとかの人たちに公園で活動してもらって、

その活動をしていることで、公園が生きた空間になって、

人がたくさんくる公園になったといいます。

 

コミュニティデザイン―人がつながるしくみをつくる

コミュニティデザイン―人がつながるしくみをつくる

 

 

私の出会った彼らはキャストじゃないし、

たまたま幸せな出会いを果たせた何かで、

本当にそういうセレンディピティが起こってしまうのが

広場の面白さなんだけど、(イタリア人の気質っていうのも多分にあるかも。)

それをもう少し機械的に、というか偶然の出会いや出来事を

自然に演出するって意味で、キャストが大事なのですね。

 

もちろん、広場で営業してる八百屋さんのおじちゃんたちもキャストだし、

カフェの店員さんもキャストだけど、

そういった普通に考えられるアクティビティよりも

もっと強烈な何かを体験した時に

心に触れることができることが出来るんだろうな。

例えばカフェの店員さんが急にダンスに誘ってきて、

一緒に踊ったら心は震えそうだ。

 

私の個人的な広場との出会いは、

まず一つ、このように幸せなものだったのです。