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広場について綴るブログです。

あるべき街の姿

ずーっと街並みを良くしたいって騒いでますが、
そもそも良い街並みって、どんなんでしょうか?
倉敷や、白川郷や、川越みたいに、伝統的建物が建ち並ぶところ?
良く住宅雑誌に載っているような、白い(まあ白じゃなくても黒でも良いんですが)
外壁の四角い家が新しく立ち並んだようなところ?
はたまた既存の建物のリノベーションをして外観も良くしていって出来る街? 
それともスーパーデザイナーがグランドデザインして、
まっさらな土地にゼロから作る(何風かは分かりませんが)街? 



って、結果から言うと、
スーパーデザイナーが独壇場でグランドデザインする街以外は
あっても良いんじゃないかなって思うのです。
何でスーパーデザイナーがダメかって言うと(巨匠建築家って言い換えても良いですね)
単に、スーパーデザイナーが作って良い感じに
出来上がってる街って今まで無い気がして。
お台場(って誰が作ったんだろう?)しかり、
ポートアイランド(これも誰がつくったんだろう?)しかり。



でもスーパーデザイナーはダメ、といいつつ、
やっぱりどういう街並みが良い街並みかを示して、
先導していくデザイナーは重要だから、一概にダメ、とも言えない気がするな。



ただ更地のところにゼロから作る街は、大概の場合、
大きな企業が土地を買わないと(もしくは借りないと)成り立たないような
大きな区画のプランが多いから、
それがその土地の新陳代謝が鈍る原因となっている事、
かつ、デザインする人の絶対数が少ない&時間数が短いことから
敷地と敷地の間や、細かい部分のデザインが
端折られて大雑把な仕上がりになっていて、
見て美しく無いこと、そういう点がイマイチなんでは。


小さい大きさの敷地を丁寧に見て、デザインしていく分には
デザイナーの関与する意味は大きいはず。
膨大な仕事量に違いないけど、そのひとつひとつを丁寧に仕上げていくことが
一番良い街並みを作り出すはず。





最近、倉敷に行ってきましたけど、(次回書きます)
倉敷に限らず歴史的街並みの多くは、その地方特有の建築の形があって、
地元の工務店の大工さんが、もしかしたら「また同じような造りの建物かよ」
って内心思いながらも、一軒一軒丁寧に仕事をし続けたから出来上がった訳ですよね。
同じ造りの建物を何回も建ててるだけあって、
細部の仕上げ方も上手になるだろうし、
同じような建物でもちょっとずつ改良されて変化が出てるに違いない。
似てるけど、全部同じって訳じゃないパッチワーク的面白さでしょうか。
そしてその繰り返しでしか、統一感のある且つ
手のかかった良い街並みは形成されないということです。




つまりあるべき街の姿ってのは、

1,ある程度の大きさの区画毎だったらスタイルが種々あっても良い。
 たとえば駅ごとにスタイルが違うってどう?
 この駅は伝統的建造物保存地区的な家々、
 隣駅の住宅地は今どき建築家がよく使う白のプレーンな仕上げの家々、
 その隣の駅の商店街はリノベーションで外観を魅力的にしている…、という感じに。

 
 スタイルに合わせなくちゃいけない項目は、
 建物高さや、仕上げの素材や、色や、まあ出来ればサイン&グラフィック。

 まあでも仕上げの素材、色が統一されたら、例えば高さや区画の大きさが
 多少違ってても統一感はとれるはず。
 要素をどれだけ同じにするとどれだけ統一感がとれるかは、やってみないと
 わからないなぁ。大きい箇所が同じ要素なら、サイン&グラフィックが違ってても
 別に問題無さそうだしね。
 一番重要なのは仕上げの素材、2番目が色、かなあ。
 高さはなんだかんだ言って現行の建築基準法で統一されやすいからね。


 
 さらにどんなスタイルの街並みでも
 中の家具やら、仕上げの壁はいざ知らず、
 外壁や外構に関して言えば、建てたときが一番美しい素材じゃなく、
 時間を経過するとより良くなる自然素材を使って欲しい。
 木でも、金属でも、石でも。
  


2,スタイルが決まったら、
 ひとつひとつの建物はそのスタイルに合わせて、
 丁寧に作られること。丁寧っていう意味は、スタイルにきちんと合わせた上で、
 文字通り時間をかけて、細部まで作り込んでいくこと。
デジタルの写真が1インチ四方に入る要素が多ければ多いほど、
 なめらかな綺麗な画像が出来るように、
 1m×1mの壁面に入る要素が多ければ多いほど、美しく見える。
 
 
 がらんどうの高層オフィスビルの地下通路よりも、
 新丸ビルエスカレーターホールの壁面のように鏡がたくさん飾られてたり、
 さざ波のようなタイルを一面張りつめてあるトイレの方が美しい。
 (当たり前すぎますか。)

 それだけ丁寧に時間をかけること。



 あとは、建築後に必要性がはっきりしてくる、建物外部への看板や、張り紙や、注意書きなんかは、
 最初にどういうものが出てきそうか、読み取って、
 グラフィックの設計として、入れこんでおいてほしい。







もちろん一般住宅だけじゃなく、ビルも店舗もこの街並みスタイル条例には
従ってもらうの。ビルも、外壁の素材の統一はやろうとおもえば
出来るはずだから。(ただ、技術的にクリアしなきゃいけないことが多すぎて、
スタイルとかビジュアル一本で押していけるのかは疑問。)



けど街によって、建物に特色がでたら、観光客は来るわ、住民希望者は増えるわ、
良いことばかりですよ。ほんと。
引っ越しするときも、どういうスタイルの街に住みたいか、街スタイル雑誌で選ぶの。
同じ沿線でも街によってスタイルが違ければ、自分の
スタイルにあった街を探すに違いない、と。


ではまた次回。